Mac mini 2014全力考察 後編

 16日にSpecial Eventが開催されるので、その前に書いた分だけ投稿しておく。

 前編と合わせてどうぞ。

 前編では、主に予想仕様について言及したが、パーツごとに検討した結果情報が散り散りになってしまったのでここで再度まとめたい。Haswell Refreshのラインナップが7月20日に追加され、MacBook Proシリーズが7月29日に更新された。それをふまえた予想CPUラインナップが以下の表。

Expected CPU lineup of Mac mini 2014

CPU Cores/Threads GPU TDP Geekbench 3
Intel Core i5 4278U 2.6GHz 2/4 Iris 5100 28W 6617
Intel Core i5 4308U 2.8GHz 2/4 Iris 5100 28W 6916
Intel Core i7 4770HQ 2.2GHz 4/8 Iris Pro 5200 47W 12965
Intel Core i7 4870HQ 2.5GHz 4/8 Iris Pro 5200 47W 14086

 続いて筐体変更の有無による予想スペックの違いを以下の表にまとめる。

Expected Spcification of Mac mini 2014

筐体変更なし 筐体変更あり
CPU/GPU 上表参照 同左
Memory DDR3L-1600、SO-DIMMモジュール、Max 16 or 32GB DDR3L-1600、オンボード、Max 16GB
Storage 2.5-inch SATA x2 M.2 x1、2.5-inch SATA x1
I/O FireWireの撤廃、赤外線(IR)レシーバーの撤廃、Thunderbolt 2 x2、802.11ac 同左
Price $599、$799 同左

 この後編では、入出力端子と筐体デザインについて詳しく考察したい。

I/O

 入出力端子について、前編では主にMacBook Proとの比較から予想される仕様を考察したが、後編ではチップセットのバスの仕様からその予想が実現可能かどうか確認する。

製品予想入出力

 下は、筐体変更時の、予想される入出力を内部の入出力も含めて書き出したもの。

  • M.2 x1
  • SATA 3 x1
  • Thunderbolt 2ポート(最大20 Gbps)x 2
  • USB 3ポート(最大5 Gbps)x 4
  • HDMIポート x 1
  • SDXCカードスロット
  • ギガビットEthernetポート x 1
  • Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.0
  • オーディオライン入力ミニジャック(デジタル/アナログ)
  • オーディオライン出力/ヘッドフォンミニジャック(デジタル/アナログ)
  • スピーカー

チップセットが提供するバス

 一方で、2コアのUシリーズと4コアのHシリーズのCPUで想定されるチップセットのバスが下表。UシリーズはチップセットがCPUと同じパッケージに封入されているため、外部チップセットを追加しない限り固定。USBが非常に少なくなっている。Hシリーズは選択可能なチップセットのうち、最も低性能と思われるIntel HM86 Chipsetを想定した。CPU直結のPCIe 3.0が16レーンあるが、チップセットのPCIe 2.0は8レーンに留まる。現行のMacBook ProをもとにCPUの予想を行ったため、これらの値はMac miniMacBook Proで共通である。

Bus of U series and H series CPU

U series H series
PCIe 3.0 0 16
PCIe 2.0 12 8
USB 3.0 4 4
USB 2.0 0 10
SATA 3 4 4
SATA 2 0 2

入出力の利用するバス

 ここで、それぞれの入出力端子がどのバスを用いて接続されているのかを、Mac mini Late 2012とMacBook Pro with Retina Display Late 2013のロジックボードやSystem Information.appの内容をもとに検証する。ロジックボードの内容は下記サイトを参考にした。

 まず、Mac mini Late 2012から。ThunderboltはPCIe x4とDisplay Portを用い、Intel L232TB45を介して実装されている。SDXCカードスロットとEthernetポートはPCIe x1を使用するBCM57765というチップを介してまとめて実装。FireWireはPCIe x1からL-FW643E-2を介して実装。USB2.0がUSB2512Bで2つに分岐されていることも確認できた。IRレシーバはUSBを使用して接続されている。Wi-FiBluetoothはPCIeを利用するカードを搭載。オーディオ関係の端子については詳しくないためわからないが、PCIeやUSBを使わずにIntel HD Audio技術を用い、チップセットからCirrus Logic 4206Bを介して実装されているようだ。

 また、MacBook Pro with Retina Display Late 2013では、フラッシュストレージが最大PCIe x4で接続され、カメラとSDXCカードスロットがそれぞれUSBを1本消費して実装されていることがわかる。2つのThunderbolt 2端子は依然PCIe x4とDisplay Portを利用していると思われる。13-inchモデルでは、キーボードやトラックパッドは汎用I/Oを用いて接続されているものと考えられる。

 以上の情報を用いて、Mac mini 2014の予想入出力の接続バスを考察する。

Mac mini 2014での入出力とバスの接続

 Mac mini 2014の予想入出力に利用するバスを割り当てたのが以下の表。

Relations between expected I/O and bus

I/O Bus
M.2 x1 PCIe x4
SATA 3 x1 SATA 3 x1
Thunderbolt 2ポート(最大20 Gbps)x 2 PCIe x4, Display Port
USB 3ポート(最大5 Gbps)x 4 USB 3.0 x4
HDMIポート x 1 HDMI
SDXCカードスロット, ギガビットEthernetポート x 1 PCIe x1
Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.0 PCIe x1
オーディオ関連 Intel HD Audio

 下は使用される各バスの数を集計したもの。

Sum of utilized bus

Bus Number
PCIe 10
USB 4
SATA 1

 よって、UシリーズCPU、HシリーズCPUのどちらにおいても、予想した仕様を過不足無く実現可能であることがわかった。ただ、HシリーズではチップセットのPCIe 2.0だけでは不足するため、ThunderboltをCPU直結のPCIe 3.0で接続していると考えられる。下はIntelのHM86チップセットのブロック図であるが、CPU直結のPCIeレーンへのThunderbolt割り当てが想定されていることがわかる。

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 下図は、Uシリーズ、Hシリーズそれぞれの予想ブロック図。

f:id:kamosidhe:20141015090300j:plain

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 ちなみに、今回の組み合わせ以外の入出力端子のバリエーションを考察する場合は、USB端子を削減したり内部でハブを介して拡張したりしてUSBの本数を増やす、Ethernet端子の撤廃とSDXCカードスロットのUSB接続を行ってPCIeに余裕を持たせる、と言った方法が考えられる。

Case

 CPUやストレージなどの部品の選択と異なり、筐体設計はAppleの持つ決定権が大きく、選択の自由度が高いために正確な予想が難しく、他の項目以上に妄想の割合が大きくなることをはじめに断っておく。

 前編からの繰り返しになるが、筐体の刷新は、その他のパーツの変更とセットでもたらされる可能性が高いと考えられる。BroadwellのHシリーズプロセッサにおけるチップセットのオンパッケージ化、オンボードメモリの採用、M.2規格の採用、入出力端子の刷新は、筐体と同時に変更した方が都度変更するより手間が省け、設計コストが少なくて済むためである。よって、以下ではこれらの変更が行われると仮定した場合の考察を行う。

 また、前提として、新型筐体は現行筐体よりも小型化されるとして考察を行う。Mac Proがあれだけ大胆な小型化を行った以上、省スペースがセールスポイントのひとつであるMac miniAppleが大型化する可能性は極めて低い。光学ディスクドライブの撤廃、省電力化による電源の小型化、より小型なストレージフォームファクターの採用などにより、Mac miniには筐体小型化の余地が十分に残されている。

 小型化するとなると、次の3つの選択肢が考えられる。

  • フットプリント減少型
    • 高さを変えずに、縦横のサイズを小さくしフットプリントを減少させる
  • 薄型
    • 高さを減らしてより薄型にする
  • キューブ型
    • フットプリントを大幅に減らす代わりに高さは大きくし、筐体の体積は小さくする

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 このうち、薄型の筐体は実現可能性が低い。現行のMac miniには背面に入出力端子と排気口があるが、これらは既に窮屈な配置状態であり、薄型を実現するには接続端子を大幅に減らすか、入出力端子を側面に配置するか、排気口を底面や側面に配置する必要がある*1。つまり、拡張性の大幅な減少、外観の悪化、熱設計の悪化のいずれかを伴い、デメリットとなる。また、そもそもデスクトップパソコンであるMac miniがこれ以上薄型化したところでメリットがない。

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 よって以下ではフットプリント減少型とキューブ型について考察する*2

現行モデルの分析

執筆中

フットプリント減少型

執筆中

キューブ型

執筆中

2014.11.02 追記

 16日に遂にMac mini (Late 2014)が発売されたので、この記事への加筆は中止し、別途Mac mini 2015の予想記事としてまとめることにする。

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*1:USB 3.1ではType Cコネクタが策定され、従来のUSB Type Aコネクタよりも小型化されているが、登場直後はType Aに変換して使用する状況が多いと予測される。小型化されたからといって、デスクトップ機でも闇雲に端子を詰めて配置するとケーブル配線が変換器で悲惨なことになりかねないが、果たしてどうなるだろうか。

*2:ちなみに、Mac Proの円筒形状で底面から吸って天面から排気する筐体は、Mac miniにとっては過剰な冷却機構でありまず採用されないだろう。Mac Proほどの発熱量をあのサイズの筐体に押し込み一つのファンで冷却するからこそあれほど手間のかかった筐体も有用だが、CPUとGPU合わせてTDP45W程度のMac miniでは無駄に部品や工数、サイズを増やすだけである。