新型PS3 CECH-4300C発表!仕様について考察【2014.09.02追記】

 2014年8月18日、SCEJAが新型PS3、型番CECH-4300Cを2014年8月28日に発売することを発表した。

 新型ではHDD容量500GBの1モデルのみとなり、価格は税抜き25,980円、税込み28,058円。現行のCECH-4200シリーズでは250GBモデルが税抜き23,790円、税込み25,694円、500GBモデルが税抜き28,552円、税込み30,837円であるため、新型の価格を現行250GBモデルと比べると税込み価格で2,364円の値上げ、500GBモデル同士で比べると2,779円の値下げとなる。HDDメーカーが生産停止したと思われる250GBのHDDの搭載をやめ、エントリープライスは$249のままで円安を反映した、という感じだろうか。

 その他の変更点は、パッケージデザイン変更とストレージアクセスランプの省略とのこと。

 従来モデルからの変更点は、パッケージデザインのほか、CECH-4300Cでは本体ストレージへのアクセスを示す「アクセスランプ」が省略されたこと。基本的なゲーム/AV機能は従来モデルと共通で、ワイヤレスコントローラ(DUALSHOCK 3)や電源ケーブル、AVケーブル、USBケーブルなどが付属する。

 気になるのはCell B.E.のシュリンクの有無である。現時点では公式発表などはなく不明だが、消費電力と質量については仕様変更がない。もしシュリンクが行われていれば、システムの最大消費電力が低減するため、電源の低出力化とヒートシンクをはじめとした冷却装置の小型化が行われ、コスト削減されるのが通例で、結果として仕様上の消費電力と質量の減少がみられるはずである。

 一方で、ここ2年間で単体HDDの市場価格が値下がりしていないにも拘らず、500GBモデル同士の比較で3千円弱の値下げを行ったことも興味深い。パッケージデザインの変更とアクセスランプの省略ではたかだか数百円のコスト削減がやっとであると考えられ、その他の細かな部品もこれまでのモデルチェンジで既に限界まで切り詰められているはずで、3千円弱の値下げの余地があるとは考えられないからだ。

 据え置きゲーム機やパソコンは大まかにCPU、GPU、メモリ、ストレージ、光学ドライブ、その他の部品から構成されており、はじめの5つでコストの大部分を占めている。モデル末期である今回のPS3において3千円弱の値下げをする余地が残っているのは、CPUであるCell B.E.のみであり、その点ではシュリンクされている可能性は残されていると言えるだろう。

 以上のことから、今回のモデルチェンジについて考察すると、次の3つのシナリオが考えられる。

  1. ほとんどコストが削減されていないが、利益を削って値下げを行った
  2. Cellのシュリンクを行ったが電源や冷却装置はそのままにした
  3. Cellのシュリンクと電源や冷却装置の改良を行ったが仕様に表記されていない

 正直なところ一番可能性が高いのは1で、2や3は非合理的で難癖レベルだと自分でも思う。だが多々噂のあった22nm Cellは非常に魅力的で期待せずにはいられない。

 あとは誰かが分解などを行ってCellの微細化について確かめてくれるのを期待したい。

2014.09.02 追記

 上で挙げたパッケージデザインの変更とストレージアクセスランプの省略は、SCEがプレスリリースで明文化したものではなく、製品写真の比較から独自に予測されたもののようだ。よって、これら以外にも言及されていない変更点が残っている可能性がある。

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 通例では仕様上の消費電力と質量の減少がみられるはずだと記述したが、PS3において製品仕様の定格電力と重量を変えないままGPUのRSXを微細化した例があった。詳しくは関連記事を参照。また、関連記事ではCECH-4200の基板写真から22nm版のCellの搭載可能性などについても検証している。

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